web版図書館しが222号 令和2年(2020年)4月編集・発行:滋賀県立図書館 東京オリンピックから国民スポーツ大会へ 7月24日に開幕予定だった東京オリンピック・パラリンピックが延期とはなりましたが、それでも世界最大のスポーツの祭典に、人々のスポーツへの関心は高まっています。東京オリンピック・パラリンピックから令和6年(2024年)に滋賀県で開催される国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会に向けて、滋賀県ではスポーツの普及活動に力を入れています。そこで今回は、東京オリンピックと滋賀のスポーツについての話題をお届けします。 東京オリンピック 戦争の影響を受けて中止となった昭和15年(1940年)の「幻のオリンピック」から24年、昭和39年(1964年)アジア初のオリンピックが東京で開催されました。晴天に恵まれ多くの観衆が見守る中、開会式が行われました。最終聖火ランナーには、昭和20年(1945年)8月6日生まれの坂井義則さんが選ばれ、平和と日本の戦後復興をアピールすることになったと評されています。記念すべき日本勢初の金メダルは、ウエイトリフティングの三宅義信選手。銅メダルを獲得し、マラソン初のメダルリストとなった円谷幸吉選手や、オリンピック新種目のバレーボールで球技初の金メダルを獲得した「東洋の魔女」の異名をとる女子チームが話題となりました。また、レスリング・柔道・体操でも複数の金メダルを獲得し、日本中が盛り上がりました。 (参考図書) 『JOAオリンピック小事典 増補改訂版』日本オリンピック・アカデミー編著 メディアパル 2019年 G-7806-ニ 『オリンピック全大会 増補改訂』武田薫∥著 朝日新聞出版2019年 G-7806-タ 『第18回オリンピック競技大会 上・下』オリンピック東京大会組織委員会∥編集 オリンピック東京大会組織委員会 1966年 2B-780*-オ 『TOKYO OLYMPIAD 1964』共同通信社 1964年 2B-780*-オ 『'64東京オリンピック』朝日新聞社∥編 朝日新聞社 1964年 4B-7806-ロ 『3つの東京オリンピックを大研究 1~3』日本オリンピック・アカデミー∥監修 岩崎書店 2018年 JB-78  滋賀ゆかりの選手も出場  東京大会には、滋賀から男子バレーボールの菅原貞敬選手とフェンシングの真野一夫選手が出場しました。当時の新聞の地方版をみると、連日のように両選手の動向が報じられています。大会4日目には、いよいよ試合に臨む両選手に、郷土から熱い声援が送られる様子が掲載されました(朝日新聞1964年10月13日付)。大会7日目には、フェンシング団体で日本チームが4位入賞を果たしました(朝日新聞1964年10月17日付)。大会14日目には、バレーボール男子チームがオランダに競り勝って銅メダルを獲得し、翌日の記事では、メダルをかけた菅原選手の写真とともに、喜びの様子が伝えられました(朝日新聞1964年10月24日付)。 さらに東京大会以降の夏季大会の記事をみると、さまざまな競技に滋賀ゆかりの選手が出場し、メダリストが誕生しています。昭和47年(1972年)ミュンヘン大会では、男子バレーボールの深尾吉英選手が出場し金メダルを獲得しました。彦根の実家では、両親はじめ関係者が一心にラジオに耳を傾け、勝利の瞬間喜びに溢れる様子が伝えられました(読売新聞滋賀版1972年9月11日付)。平成20年(2008年)北京大会では、フェンシングの太田雄貴選手が男子フルーレ個人で銀メダルを獲得し、地元大津市で試合を見守る家族の様子が紹介されました(読売新聞朝刊2008年8月14日付)。また、体操男子団体では、中瀬卓也選手が銀メダルを獲得しました。栗東芸術文化会館では、市民や関係者ら200名が声援をおくりました(朝日新聞朝刊2008年8月13日付)。平成24年(2012年)ロンドン大会では、バドミントン女子ダブルスで、垣岩令佳選手が銀メダルを獲得し、日本バドミントン史上初となるメダルに歓喜しました(京都新聞2012年8月8日付)。また、フェンシング男子団体では、太田雄貴選手が銀メダルを獲得しました(京都新聞夕刊2012年8月6日付)。平成28年(2016年)リオデジャネイロ大会では、シンクロナイズド・スイミング(現:アーティスティックスイミング)のデュエットで、乾友紀子選手が銅メダルを獲得しました(朝日新聞朝刊2016年8月18日付)。乾選手はチームでも銅メダルを獲得し、地元の近江八幡市では約150名が見守りました(朝日新聞朝刊2016年8月21日付)。さらに陸上男子400メートルリレーでは、桐生祥秀選手が銀メダルを獲得しました(朝日新聞朝刊2016年8月21日付)。   パラリンピックでは、競泳男子の木村敬一選手が、平成24年(2012年)ロンドン大会で、男子100メートル平泳ぎで銀、100メートルバタフライで銅メダルを獲得しました(京都新聞夕刊2012年9月7日付)。次のリオデジャネイロ大会では、50メートル自由形で銀をはじめ合計4個のメダルを獲得しました(朝日新聞朝刊2016年9月17日付)。 オリンピックにかける選手たちの姿は、私たちに力を与えてくれます。次回のオリンピックでも、選手たちの雄姿に期待が集まります。 びわ湖毎日マラソン 東京オリンピック最終選考の大会として注目され、今年で75回目を迎えた歴史のあるマラソン大会です。現在では、滋賀県でおなじみの大会ですが、昭和21年(1946年)第1回大会は、「全日本毎日マラソン選手権大会」として大阪で開催されたのはご存知でしょうか。戦後初のフルマラソンの大会で、『びわ湖毎日マラソン大会50年史』によると、「参加賞として贈られたマラソン足袋用のゴムと布きれが大変喜ばれた」とあり、当時の社会事情がうかがえます。昭和37年(1962年)第17回大会から開催地が滋賀県に移りました。第18回と第19回大会は、東京の五輪コースで開催されましたが、昭和40年(1965年)第20回大会で再び滋賀に戻ってきました。その大会では、東京オリンピックで金メダルを獲得したアベベ選手が優勝を飾り、話題となりました。 (参考図書) 『びわ湖毎日マラソン大会50年史』毎日新聞社∥編集 毎日新聞社 1996年 SB-7800-96 第36回国民体育大会「びわこ国体」 昭和56年(1981年)「水と緑にあふれる若さ」をスローガンに、滋賀県で初めての国民体育大会「びわこ国体」が開催されました。皇子山総合運動公園で行われた総合開会式では、園児や小中高の児童生徒の集団演技のほか、郷土の伝統芸能や大会開催を記念してつくられた「びわこ音頭」などが披露されました。大会運営では、選手の移動手段として湖上交通が活用され、選手たちが船上からの眺めを楽しむ様子も話題になりました。各競技では、滋賀県代表選手の活躍めざましく、男女とも総合優勝を飾り、天皇杯・皇后杯を獲得しました。いよいよ令和6年(2024年)には、滋賀県では2回目の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会が開催されます。滋賀県代表選手の活躍と、県民のスポーツへの関心の高まりが期待されます。 (参考図書) 『第36回国民体育大会報告書』第36回国民体育大会滋賀県実行委員会事務局∥編集 第36回国民体育大会滋賀県実行委員会 1982年 S-7800-82 『びわこ国体開会式総合写真集』[出版者不明] [出版年不明] 5B-7800 『びわ湖に燃ゆ [第1集] [第2集] 』京都新聞社滋賀本社∥編集 京都新聞社滋賀本社 1981年 SB-7800-1 『びわこ国体グラフ』京都新聞社滋賀本社∥編 京都新聞社滋賀本社 1981年 SB-7800-81 今月のブックマーク 新聞記事を探すには? 本号の特集では多くの新聞記事を紹介しました。この新聞記事を探すのに、便利なデータベースがあります。 当館で利用できる新聞記事を探すデータベース   聞蔵IIビジュアル(朝日新聞、1897年から) ヨミダス文書館(読売新聞、1986年から) 中日新聞・東京新聞記事データベース(両紙とも1987年から) 日経テレコン21(日本経済新聞、日経産業新聞などの日経各紙1975年4月から) 当館では、昭和53年(1983年)4月以降の滋賀県関係記事について、主要日刊紙6紙の見出しをデータベース化しており、見出語句、掲載日付、分類、人名をキーにして検索ができます(記事本文は入っていません。)。 これで検索した後、新聞原紙やマイクロフィルム、別掲のデータベースで記事を読むことができます。これらデータベースでも、日付やキーワードで検索でき、滋賀版の記事も探せるものもあります。 新聞記事をお探しの場合は、参考資料室でご相談ください。 湖国の本棚 『明智光秀 牢人医師はなぜ謀反人となったか』 早島大祐∥著 NHK出版 2019年11月刊 (800円+税) 昨年から明智光秀関連の本が多く出版されています。本書は、丁寧に史料を参照し、光秀が有能な武将でありながら謀反へと追い詰められていった理由とともに、「牢人時代に初歩的な医学知識を有し重宝された」「人材不足の織田家中において、事務仕事もこなしスピード出世した」「敵は皆殺しだが部下への情は厚かったかもしれない」など、幅広い光秀像を浮かび上がらせます。羽柴秀吉との官僚としての資質の違いにまで考察は及びますが、史実にもとづいた推察とはどのような手順を踏むのか。鮮やかな書きぶりは、推理小説を思わせます。 本書の第2のテーマは、「開かれた光秀研究」。著者がまえがきで述べているように、近年、オンライン上での史料へのアクセスが格段に良くなりました。巻末の参考文献に記載の書籍・論文については、33点中25点を当館でも所蔵しています。興味を持たれた方は、ぜひご自身でも直接読んでみてはいかがでしょうか。 郷土資料紹介 令和元年11月~令和2年2月購入・寄贈分より 書名著者出版者出版年請求記号 観音ガールと巡る滋賀近江の十一面観音 『星と祭』復刊プロジェクト公式ガイドブック編 對馬佳菜子∥著 能美舎 2019.10 S-1861- 19 本能寺の変に謎はあるのか? 史料から読み解く、光秀・謀反の真相 渡邊大門∥著 晶文社 2019.12 S-2400- 19 明智光秀の生涯 諏訪勝則∥著 吉川弘文館 2019.12 S-2811- 19 明智光秀ゆかりの地を歩く サンライズ出版∥編 サンライズ出版 2019.10 S-2811- 19 光秀の歩き方 山本耕∥著  土山公仁∥監修 岐阜新聞社 2019.12 S-2811- 19 琵琶湖治水に命をかけた藤本太郎兵衛三代 石田弘子∥著 サンライズ出版 2019.12 S-2812- 12 近江の能 中世を旅する 井上由理子∥著 サンライズ出版 2019.11 S-2900- 19 忍びの滋賀 いつも京都の日陰で 姫野カオルコ∥著 小学館 2019.12 S-2900- 19 ふるさと再発見の旅 近畿1 清永安雄∥撮影 産業編集センター 2019.11 S-2900- 19 生涯現役・生涯学習・生涯シルバー シルバー人材センターの魅力 平田正男∥著 [平田正男] 2020.1 S-3600- 20 森のようちえんの遊びと学び保育・幼児教育の原点ナチュラル・キンダーガーデン 金子龍太郎∥著 西澤彩木∥著 かもがわ出版 2019.11 S-3711- 19 名医の追放 滋賀医科大病院事件の記録 黒薮哲哉∥著 緑風出版 2019.11 S-4911- 19 図解でわかる日本の名城 イラストで徹底解剖!現存十二天守と合戦舞台の城 ぴあ 2019.11 SB-5200-19 近畿の城郭 文献・考古・縄張りから探る 中井均∥監修  城郭談話会∥編 戎光祥出版 2019.12 S-5208- 19 しんじゅのこ 渡邉良重∥え 福永信∥ことば リトルモア 2019.11 S-6680- 19 園城寺の仏像 第4巻 園城寺∥監修 園城寺の仏像編纂委員会∥編 思文閣出版 2019.11 5B-7111-4 NHK大河ドラマ「麒麟がくる」完全ガイドブック 東京ニュース通信社  2020.1 SB-7700-20 スカーレット Part2 連続テレビ小説 NHK出版 2020.2 S-7733- 20 忍者バイリンガルガイド 黒井宏光∥監修  岩﨑隼∥画 小学館 2019.12 S-7830- 19 塚本邦雄全歌集 第4巻 文庫版 塚本邦雄∥著 短歌研究社 2020.1 S-9142-4 冬銀河 句集 鈴木幹将∥著 鈴木靖将 2019.11 S-9211- 19 桔梗の旗 明智光秀と光慶 谷津矢車∥著 潮出版社 2019.12 S-9500- 19 ホームページの新刊図書案内にて郷土資料の新着図書のリストをご覧いただけます。