開催中 「生誕300年 木内石亭~「石の長者」とよばれた滋賀の先人~」
掲載日:2024/02/22
2階参考資料室内 デジタルアーカイブ資料展示
本年は木内石亭の生誕300年にあたります。今回の展示では、当館が所蔵する貴重資料のなかから和書を中心に、木内石亭と鉱石にまつわる資料をご紹介します。「石の長者」とよばれた滋賀の先人、「木内石亭」にご注目いただく機会になればさいわいです。どうぞお立ち寄りください。
木内石亭 きうち・せきてい(1724-1808)
木内石亭は、奇石の蒐集と探究によって世に「石の長者」として知られました。『東海道名所図会』にも石亭のことが次のように記されており、当時の知名度がうかがわれます。
石亭は安永2年(1773年)以降、『雲根志前編』、『雲根志後編』、『曲玉問答』、『百石図巻』、『竜骨記』、『鏃石伝記』、『天狗爪石奇談』などを次々と著しました。これらは写本としてひろく流布し、知識人や奇石愛好家の目にとまることになりました。
著書に集成した奇石の産地は、北は陸奥から南は対馬まで、種類は、地質・鉱物、考古、旧跡におよびます。鉱物だけでなく考古学資料をも加えている点は、現在においても学問的に評価されています。石亭はまた、全国の奇石愛好家たちとの交流を楽しみました。なかには石亭愛蔵の奇石を見せてもらうために、飛騨高山から石亭のもとを訪れる人物もありました。
住まいに近い田上山にも何度か足を運んだようです。『雲根志 後編』には近江国を産地とする水晶について、「黒色上品のもの田上山、羽黒山にあり。予、数度この山に入りて見るにもっとも多し。そのほか桐生、白石谷、三井寺、岩根、妙光寺」と記しています。